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【広報取材】親子三世代 ブドウを守り50年

大野支店管内の「中里ぶどう園」は、都市化が進む住宅街で親子三世代、約50年にわたってブドウ栽培を営んでいます。
同園では代々、乳牛や露地野菜を中心に営農してきましたが、50年ほど前にブドウ栽培へ転換。同園の中里裕之さんによると、最盛期には同じ地区で20軒ほどのブドウ農家が存在していましたが、急速な都市化の影響もあり、現在では数えるほどに減ってしまったといいます。
約50aの圃場で、主力のシャインマスカットを中心に、藤稔やクインニーナなど12種類ほどを栽培。市場では現在、シャインマスカットに人気が集まりますが、今後の市場変化を見据えて後継品種の選定・栽培にも力を入れています。
同園は、ブドウの枝をH型に伸ばしていく「短梢栽培」方法を中心に展開。作業効率の向上や樹勢の維持、収量安定などを狙います。土壌管理面では、ブドウ栽培の初期は土に畳わらを敷き、保温や保湿、除草効果を狙っていましたが、現在はトラクタで耕耘し、スプリンクラーで散水します。一方、圃場周辺ではタヌキやハクビシン、カラスなどの有害鳥獣が多く、罠の設置や電気柵・防鳥網の設置などの対策も念入りに行っています。
長年の努力により県内外を問わず固定客も多く付いています。6月頃からその年の生育状況に関する問い合わせが増え始め、品種指定の客も多いそうです。
裕之さんは郵便局で長年勤務し、退職後は自宅近所の老人ホームで役員を務めていました。老人ホームの窓から両親が農作業に従事する姿を見て、一念発起して10年ほどになります。息子の一貴さんと父の正人さんも作業に加わります。一貴さんは大学農学部を卒業後、一般企業でイチゴの水耕栽培を経験し、5年ほど前に就農しました。正人さんは広い圃場内を自転車で移動するなど、まだまだ健在です。
裕之さんは「お客さまからの『おいしい』の一言で頑張れる。良質なブドウ栽培を通じて消費者に喜んでもらうため、親子三世代で頑張っていきたい」と語ります。