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【広報取材】食の大切さ 親子に訴える

中央区田名の「桑の実保育園」は、JA組合員が所有する畑を一部借り受け、園児の保育時間に畑作業を行うなど食農教育に力を入れています。給食には地元食材を取り入れ、園だよりでは国内農業を守るための意義を保護者にも訴えています。
同園は1991年に開園し、最大46人を預かります。住宅地と畑が隣接する地域に所在し、園児は散歩などで地元農家の作業風景を目にすることが多い環境です。野上幸代園長は保育業界に身を置くようになってから、園児の健康や食について考えるようになったといいます。
同園のれんげ組(4才児)とつめくさ組(5才児)では、年齢別保育の一環で「子どもたち自ら自然に働きかける活動」として、年間を通した畑作業に取り組みます。ジャガイモやニンジン、トウモロコシ、ダイコンなど15種類ほどを栽培。収穫したダイコンでたくあんを作り、給食として提供、トウモロコシはおやつとしてポップコーンを作ります。
「トマトを食べられない園児が、自分で育てたトマトを口にしたら食べられるようになった」など、自ら野菜を育てることで成長を促しています。「子どもたちに安全・安心でおいしい給食を食べてもらいたい」と、同園の給食食材は可能な限り国産を扱うよう努力しています。複数の組合員からも野菜を仕入れ、同園が月1回のペースで発行する園だより「くわのみだより」でも「食材を守ろうとすることは日本の農業を守ることにつながる」など、園児が畑で野菜作りをする意義を訴え、作業時には保護者の協力も促します。
同園が耕作する約100坪の畑は、組合員の篠﨑亘克さんから借り受けた土地。篠崎さんは地元で代々続く農家で、養豚経営を経て同市の特産品であるヤマトイモや露地野菜を栽培。JA役員も歴任してきました。同園職員が篠﨑さん宅の近所に住んでいる縁などから、畑の借り受けを依頼しました。
5月21日に行われたサツマイモとポップコーン用トウモロコシの定植作業では、園児16人が参加。ベニアズマを約100本、トウモロコシ苗約50個を植え付けました。野上園長ら職員が指導を行い、篠﨑さんも温かい目で作業を見守っていました。
篠﨑さんは「幼い頃から自分が普段食べている野菜が育っていく過程を知ることに価値がある」と期待を寄せています。
野上園長は「ゆくゆくは給食残渣を発酵させた肥料を畑で使いたい。園児だけでなく保護者にも食の大切さを訴えていきたい」と力を込めています。